記事制作のリソースが足りず、外注ライターを増やした経験がある制作会社・Webマーケ会社は多いと思います。
しかし実際には、
- 修正が減らない
- 記事の品質が安定しない
- ディレクションの手間がむしろ増えた
と感じているケースも少なくありません。
この状況の問題は、記事制作の「役割分担」にあります。
記事制作は「書く工程」より前で詰まりやすい
記事制作というと、どうしても「誰が書くか」に目が向きがちです。
ですが実際は、
- 構成は誰が作るのか
- どんな人に書いてもらうのか
- どこまで任せ、どこをチェックするのか
といった書く前の設計が曖昧なまま進み、後工程で負荷が集中するケースが多く見られます。
修正が多くなる案件に共通する原因
記事制作において、「なぜか修正が多くなる案件」というものがあります。
ライターのスキルに問題があるわけでもなく、指示を雑に出しているつもりもない。
それでも、初稿→修正→再修正…とやり取りが増えていく。
こうした案件には、いくつかの共通点があります。
多くの場合、原因は文章力や専門知識ではありません。もっと手前の工程で、意図や判断軸が揃っていないことが修正の連鎖を生んでいます。
この章では、修正が増えやすい案件に共通する原因を整理しながら、どこでズレが生まれやすいのかを見ていきます。
構成が曖昧なまま発注している
制作会社のディレクターや編集者は、ライターに記事を発注する際、構成を作成する業務が発生します。構成作成では、想定される読者やニーズなどを分析したうえで全体の方針や見出し、各見出しに含める内容などを整理します。
それらの情報が曖昧なままライターに発注すると
- 記事の着地点が定まらない
- 掲載すべき参照・引用情報の取捨選択ができない
- クライアントの意図とズレている
といった事態につながり、結果的にディレクターや編集者の負担になることがあります。
ライター・監修者の選定基準が曖昧
「とりあえず空いている人にお願いする」
「実績がありそうだから任せる」
こうした選定は、短期的には楽ですが、後で必ず歪みが出ます。
- 記事で満たしたい情報とライター・監修者の専門性が合わない
- 想定読者の理解がズレる
- 修正理由が伝わらない
この結果、編集工数が膨らみます。
編集が校閲だけになっている
編集工程が、誤字脱字修正や表現の言い換えに終始している場合、本来あるべき品質調整・意図整理ができません。
この状態では、いくらライターを増やしても制作は安定しません。
「書く人」ではなく「整える人」がいると制作は変わる
記事制作で修正が多くなる場合に重要になるのが、全体を整える役割を担う人材を配置することです。
全体を整える役割が、ディレクターとライターの間に入り、次のような流れを一貫して担うことで、制作が安定しやすくなります。ここでは、記事制作のフェーズに沿って、具体的にどのように整えるのかについて解説します。
記事の8割を仕上げる構成作成
記事制作において、構成作成は最も重要な段階です。この段階で、記事の完成度の8割が決まると言っても過言ではありません。
構成作成で行っているのは、
- この記事は何のための記事か
- 誰に向けて書くのか
- 読者がどの順番で理解すれば納得できるか
- 最終的にどこへ着地させるのか
といった記事全体の設計です。
これらが曖昧なままライターに発注すると、
- 情報は正しいが、伝わらない
- 読みやすいが、使えない
- 修正で方向性を直すことになる
といった状態になりやすく、結果として後工程の負担が大きくなります。
構成作成で整理していること
構成を作る際は、主に次の点を整理します。
- 想定読者の前提知識や立場
- 読者が抱えている疑問や不安
- 競合記事との違い・補うべき視点
これらを踏まえたうえで、「この順番なら、読み手は迷わない」という流れを組み立てます。
構成がここまで固まっていれば、ライターや監修者が変わっても、記事の方向性が大きくブレることはありません。
構成が固まると、後工程が一気に楽になる
記事の8割が構成段階で仕上がっていると、
- ライターへの指示がシンプルになる
- 執筆内容の判断に迷いがなくなる
- 編集は「整える作業」に集中できる
という状態を作れます。逆に言えば、構成が曖昧なまま進む案件ほど、編集・修正工程で負荷が集中する傾向があります。
適切なライター/監修者の選定
多くの制作会社では、ライターや監修者の選定にあたって、過去の実績・得意ジャンル・専門性や肩書きといった一定の基準を設けていると思います。
ただ、それでもなお「書いてもらった記事を見て、情報が足りないと感じる」というケースは少なくありません。
このケースの問題は、選定する側が記事テーマを深く理解できていないことです。
テーマ理解が浅いと、何が起きるのか
たとえば、「クラウド型勤怠管理システムの選び方」というテーマの記事を制作するとします。一見すると、「勤怠管理」「クラウド」「システム選定」といったキーワードが並び、IT系の実績があるライターであれば問題なさそうに見えます。
しかし、それだけでは「導入企業の立場(情シス/人事/経営)の違い」「既存システムとの連携」「運用フェーズでの課題」といった比較検討に必要な観点が抜け落ちやすくなります。
結果として、「情報は間違っていないが、クライアントの要望にあっていない」記事が上がってきます。
テーマ理解が深いと、選定はこう成功する
ライター/監修者の選定がうまくいっている案件には、いくつか共通したポイントがあります。
それは、選定する側が、記事テーマを「言葉で説明できるレベル」まで理解していることです。ここでいう理解とは、専門知識をすべて持っている状態ではありません。
どんな読者が・どんな判断や行動のために・この記事を読むのかを具体的に想像できている状態です。
テーマ理解が深い場合、選定前に次のような整理ができています。
- 読者が比較したいポイントは何か
- 競合記事で足りていない情報はどこか
- 表面的な説明で終わらせてはいけない部分はどこか
これが整理されていれば、「導入検討フェーズの読者が多いため、実装経験よりも、比較・判断を整理できる人が適している」「技術的な正確性よりも、非エンジニアにも噛み砕ける表現が重要」といった判断が明確になり、適切なライター・監修者を選定できます。
読者に通じる記事にする編集
記事編集は構成で設計した意図を、最終的な文章として成立させる工程です。
どれだけ構成がよくても、執筆段階で次のようなズレは必ず発生します。
- 意図していない方向に話が膨らむ
- 重要な論点がさらっと流されている
- 読者の前提知識と合っていない表現になっている
編集工程では、こうしたズレを一つひとつ整えていきます。
編集で重視しているのは「正しさ」より「通じるか」
記事編集というと、情報が正しいかや表現が適切かに目が行きがちですが、それ以上に重視しているのが、この文章は、想定した読者に本当に通じるかという視点です。
技術的に正しい説明であっても、「読者の立場に合っていない」「判断材料として使いにくい」場合、読みたくなる記事としては機能しません。
そのため編集時は、「この段落で、読者は何を理解すべきか」「次の見出しを読む理由が生まれているか」といった流れを常に確認しています。
不要な文章を削るときは「理由」を必ず伝える
編集工程で欠かせないのが、文章を削る判断です。ただし、単に「冗長だから削る」「重複しているから削る」では終わらせません。
ライターや監修者には、「なぜ削るのか」「構成上、どこで役割を終えているのか」を言語化して伝えます。
これにより、「次回以降、同じズレが起きにくくなる」「ライターとの関係性が悪化しない」という効果があります。
編集で整えているのは「文章」だけではない
次のような点も編集で調整します。
- 見出しと本文の噛み合い
- 情報の出す順番
- 専門用語の使いどころ
- トーンや温度感
これらを整えることで、「記事全体の読み心地が揃う」「メディアとしての品質が安定する」状態を作れます。
複数のライターが関わるメディアほど、編集工程の設計が成果に直結します。
制作会社にとっての現実的なメリット
ディレクターとライターの間に入る役割を外部に持つことで、
- 社内ディレクターの工数を抑えられる
- 案件ごとの品質ブレを防げる
- 修正対応に追われにくくなる
といった変化が起きます。
結果として、
ライターを増やさなくても、
制作体制が安定し、
契約金額に見合った利益構造を作りやすくなる
というメリットがあります。
まとめ
記事制作がうまく回らないとき、原因は「人が足りないこと」ではなく、整える役割が不在なことにある場合が多くあります。
- 構成を設計する
- 適切な書き手を選ぶ
- 編集で全体を整える
この工程を一貫して担う役割を外に持つことで、制作は驚くほどスムーズになります。
制作体制を見直したいと感じたときの一つの選択肢として、考えてみてください。


